『つくろひ』 とは


 「つくろふ」は、太古より用いられた言葉で、【ツクル】(作る、造る)+繰返しの【フ】、または【オフ】(和ふ、逢ふ)との合成語である、という説があります。

 金継ぎ(金繕い)という古来の伝統技法では、ヒビが入ったり割れたり欠けたりして損なわれた器に、漆などによる修復がなされ、その痕跡を敢えて残すかたちで、金銀などによる装飾が施されます。それは元の器とは異なる趣をもった器として現れ、我々に新しい在り方という可能性の目を開かせてくれます。茶道においては、器の新しい景色にふさわしい「銘」が授けられることもあります。

 藤原の撮る写真には、この金継ぎに似たものが宿っています。瑕疵を含めてあるがままであること。ただし、変化することへの可能性は、常に開かれています。「祈り」のようなものが、そこにはあるのです。

 本写真展のタイトル「つくろひ」は、つながりから離脱し、隔絶したまま忘却されようとしている、かけがえのない存在の欠片を探し求め、畏敬の念をもって近づき、呼応しつつ光を当て、そこに立ち現れるものを静かに撮影する、藤原敦の写真行為を表現しようとするものです。

 父祖、隣人、先人、ふるさと......。隔たりがあるからこそ、つながろうとする。そんな人間の夢を、ひたむきに追い続けた写真家・藤原敦の旅の軌跡を、どうかご覧ください。 

藤原敦写真展@三井寺実行委員会(文責:正岡加代子)



   
「文化で滋賀を元気に!プロジェクト参加事業」
「beyond2020 プログラム認証事業」
「第48回滋賀県芸術文化祭・びわ湖大津 秋の音楽祭参加事業」